1. フリーランスの保護

フリーランスの保護

 

◇フリーランスの増加

 

当社はレンタルオフィス・コワーキングスペースを展開しておりますが、利用者様の中には個人の力を発揮したい、自由に働きたいとの思いから、お勤めの企業を退職して、事業を立ちあげたり、フリーランスとして働く道を選択された方が多くいらっしゃいます。

毎年発表されているランサーズによる「フリーランス動向調査」によると、フリーランス人口は毎年増加しており、2017年調査では、労働力人口の17%に当たるという結果になったそうです。労働力不足、人材不足が言われる日本で、このデータは無視できないものになっているかと思います。

そんな中、先日2月15日に公正取引委員会は、フリーランスに対し、不利な条件を押し付けるような場合は独占禁止法違反に当たるとする指針を公表しました。

フリーランスの方々の保護については、新しい動きだと思いますので、今回はこれをテーマにしてみたいと思います。

 

◇フリーランスは法律的にどんな存在か?

 

労働者を守る労働基準法などの法律は、いわゆるフリーランスの人には適用されないと考えられてきました。なぜなら、フリーランス人材は、仕事を依頼する企業と「雇用契約」を結ぶ訳ではなく、「業務委託契約」などの形で、仕事を請け負う関係だからです。事業者対労働者には当たらず、事業者対事業者として捉えられる面が大きかったようです。

それなら、適正な取引を守るという意味で、独占禁止法の適用にするかという点でも、はっきり決められておらず、今までフリーランスは曖昧な立場に立たされていました。

今回の指針は、このグレーゾーンにいたフリーランスを独占禁止法に定める「優越的地位の乱用」を適用して保護していくことを明確にした新しい指針となります。

 

独占禁止法の主旨は、公正取引委員会ホームページによると「公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすること」だそうです。

正常な資本主義市場では常に価格競争が行われていて、消費者は様々な商品の中から、価格やサービスなどを見比べ、選択することが出来ます。でも、ある製品について、複数の企業間で協定を結び、「価格競争はしない。一律価格で提供します。」とした場合、それが高かろうが、品質が悪かろうが消費者はそれを買わざるを得なくなります。立場の弱い消費者を不利益から守り、市場経済の成長を妨げないように定められた法律なのです。ここでポイントなのは「立場の弱い」方を保護するという点です。

先程述べた「優先的地位の乱用」は、取引において地位が相手より強い方が、「立場の弱い」取引の相手方に対し、その地位を利用して圧力をかけたり、不当な扱いをしたりすることを言いますが、このような行為は独立禁止法で禁止されています。

 

◇フリーランスの抱える問題

 

公正取引委員会が発表しているアンケート結果によると、依頼元の企業側から契約書面が交付されずに仕事を請ける事例や、依頼元の都合でやり直したにも関わらず費用を負担してもらえなかったといった事例があったことを報告しています。今後は、企業側からフリーランスに不利な条件を押し付けた場合、待遇面を曖昧にして明示しないなどの場合も、「優先的地位の乱用」にあたる可能性があるとしています。

アンケートの結果から、「もし、一度でも相手方の要望を断ったら、次の仕事はもらえないかもしれない」「取引先の選択肢が少ないので、取引先確保のためには言うことを聞くしかない」と、不利な取引条件を受け入れざるを得ない現状が透けて見えるような気がしました。

公正取引委員会は独立禁止法違反になる恐れがある事例として、下記も挙げています。
1:企業が「秘密保持契約」を盾に競合他社との契約を過度に制限する行為
2:イラストやソフトなどの成果物に必要以上に利用制限や転用制限をかけること
3:複数の同業他社間で、賃金の上昇を防ぐために、「互いに人材の引き抜きはしない」と申し合わせること
最近は、芸能人が事務所の移籍で揉めるニュースなども多く目にしますが、今回の指針はフリーランスだけなく、芸能人やスポーツ選手も保護の対象となっています。優秀な人材を囲い込んで、強制的に身動きをとれなくすることも独占禁止法違反に該当する可能性があるのです。

独立禁止法に違反した事業者には、排除措置命令が命じられたり、課徴金が課されたりといった罰則が発生します。また、被害者側から損害賠償請求を請求された場合は、企業は故意・過失を問わず責任を逃れることが出来ません。今回の指針は、弱い立場にあるフリーランスに対抗する手段を与えて、公正な競争のもとで、能力のある人が力を発揮させることができる社会への第一歩になるのではないかと思います。企業側としても、「なんでもこっちの言う通りにやってもらえる」といった意識を改め、契約制度を整えるなどの対応を迫られることになります。

 

◇今後も増える多様なはたらき方

 

フリーランスだけではなく、副業、在宅ワーカー、ノマドワーカーなど、現在ではITの進歩とともに様々な働き方が生まれてきました。公正な条件のもとで能力がある人が活躍できる社会は、経済の活性化に不可欠だと思います。

当社もウェブサイトやランディングページの作成など、フリーランスの方に依頼しているケースも多々あります。想定以上の修正をお願いしたり、工程が当初の予定より延びてしまったりと、ご迷惑をかけたこともあったのではないか…と改めて考える機会となりました。ビジネスは取引先やお客様、多くの方の関わりがあって、初めて成立します。どの立場でもどの環境でも、気持ちよく仕事が出来るような社会に意識を変えていくことが大切だと感じます。

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